新刊情報

花すすき

【オリジナル句集】
句集/花すすき
著者/甲斐加代子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

浮き沈みうねりに任す花すすき

年齢を重ねてからの作品には加代子さんの向上心の強さが窺える。常に知的刺激を求め続ける姿勢に敬意を表したい。

福本弘明「序」より
阿夫利嶺の風

【オリジナル句集】
句集/阿夫利嶺の風
著者/早見和子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

阿夫利嶺の風存分に鯉幟

相模湾の水蒸気により常に山上に雨雲をたたえているため、「あめふりやま」転じて「阿夫利嶺」と呼ばれて来た山塊。信仰の山である。今日もそのお山からの柔らかい風をたっぷり吸い込んではためく鯉幟。児の成長を願ってその姿は力強い。阿夫利嶺へよせる崇敬、そして流れ来る山気に親しんで醸成された詩情、それらがごく自然に漂い、充実した歳月が偲ばれる一冊である。

岡村千惠子「序」より
たんぽぽ

【オリジナル句集】
句集/たんぽぽ
著者/佐藤裕子 佐藤壽彦
判型/四六判上製/カバー装
価格/2800円(税抜き)

たんぽぽのやさしくありぬ児に摘まれ 裕子
たんぽぽや日の申し子の顔をして 壽彦

お二人の句を並べてみると、やさしい。やさしい、という言葉は何をさすのだろうか。それはおそらく、ただそのままの姿でそこにいるということを、否定しないということだろうか。そして、お二人とも句がやさしいと思うのである。

大橋一弘「序」より
かぶと虫

【オリジナル句集】
句集/かぶと虫
著者/原光生
判型/新書版並製/カバー装
価格/2000円(税抜き)

かぶと虫「少年ジャンプ」と交換す

平素の暮らしの中でふと気付く機微の表白が集まって、作家の人格を作ってゆく。これらの作品の優しきまでの自己表白が景として打ち出されていることに注目している。

増成栗人「序」より
有楽椿

【オリジナル句集】
句集/有楽椿
著者/松岡典子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

四百年有楽椿や如庵に添ふ

犬山は俳句でたびたび吟行する素晴らしい町である。国宝犬山城のあるこの地で生まれ育った典子さんの俳句に濃い面影を残している。国宝の茶室「如庵」の庭には水琴窟もあり、有楽椿が花開くのであった。

武藤紀子「序」より
深遠

【オリジナル句集】
句集/深遠
著者/中西厚子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

露光り一瞬の生全うす

俳句は精神(心)の風景と常々思っているが、彼女の作品は主観を大胆に表出しているところに特徴がある。「一瞬の生全うす」が彼女ならではの主観の表出。光ってこぼれた露の玉の美しさもさることながら、生を全うした命の姿に見えて作者は感動したのだ。

高橋将夫「序」より