新刊情報

敵は女房

【オリジナル句集】
句集/敵は女房
著者/並木邑人
判型/四六判並製/カバー装
価格/2000円(税抜き)

宿敵はずっと女房秋ざくら

宿敵とは実力が伯仲する競争相手のこと。好敵手ともいい、相手に対する敬意のようなものが含まれる。邑人と奥様は文学のみならず人間学の競い合いをして来たのでは。それも邑人の学生時代から。照れくさそうな邑人の顔が見えるが、掲句、邑人が気合を込めて表明する奥様への愛である。句集名『敵は女房』の拠って来たる所以である。

檜垣梧樓
鶴唳

【イカロス選書】
句集/鶴唳
著者/小杉伸一路
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

鶴唳の止みて星座の瞬ける

句集名は、鹿児島県出水市の鶴の越冬地を吟行した際の句から採った。前半は副主宰時代の、後半は主宰就任以来の俳句を配している。副主宰の時代は主宰に従っておればよかったが、主宰になってからは、全ての事項を自分で決めなければならず、作句の量も選句の量も、副主宰時代より飛躍的に増加した。その変化が、この句集には反映されているかもしれない。

「後書き」より
雪柳

【平成俳人群像】
句集/雪柳
著者/広野草雄
判型/菊判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

もっこの土が重すぎてからすの言葉わからない

広野草雄は生粋の農民俳人である。始めと終りと、そして、終りと始めとーーは、人間のあらゆる営みの永遠につづくテーマだが、『雪柳』は広野草雄という一農民が、俳句という小さな表現形体を身に体して、それに挑んだ一つの道程であった。

田中 陽(「序」より)
平成俳誌山脈縦走I

【その他】
句集/平成俳誌山脈縦走I
著者/大久保白村
判型/四六判上製/カバー装
価格/2880円(税抜き)

俳句結社誌にとっての「平成」時代とは――

「春嶺」に連載した247誌延べ382冊の”俳誌山脈“は、平成を過ごした俳人の足跡の記録であり、平成を詠じた一句一句の記憶である。新時代・令和ーー終刊の報が相次ぐ俳句結社誌にとって、平成時代の俳壇を俯瞰して浮かび上がるものとは何か。

而今

【オリジナル句集】
句集/而今
著者/木下武久
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

神杉をゆするどんどの大地籟

この句文集『而今』は、数多出版される自句のみの句集とは異なり、師系の先師を探求した示唆に富んだ評論、及び自分史的内容をも有する滋味深い著書。多くの俳句愛好者に味読を勧めたい。

岸原清行(「序」より)
浄土ヶ浜

【オリジナル句集】
句集/浄土ヶ浜
著者/さいとう白沙
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

浦祭沖へ祈りの桴さばき

句は決して悲惨ばかりを描いていない。自然の力強さ、人の強さ、人と人との優しさが描かれている。希望が描かれている。私たちはつくづく生かされている、そのことをこれらの句群から実感し、勇気を貰うのである。

太田土男