【オリジナル句集】
句集/紙雛
著者/丸山千代子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2593円(税抜き)
瓦礫より音なき音や初明り
ここでいう瓦礫とは、いずれも何らかの形や用途をもって人々の生活を支えてきた事物のことだ。それが今は単なる石塊、無用のものとなってしまった。そして、深い闇に覆われ山なしている。しかし、しだいに昇る初日によって、まるで蘇るように音なき音を生み始めたというのである。瓦礫もまた蘇生するのだ。何事にも前向きに生きてきた千代子さんの長年の生きる姿勢が生んだ佳句といえよう。
【オリジナル句集】
句集/ちんぐるま
著者/栗原愛子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2500円(税抜き)
月山の径の二筋ちんぐるま
愛子さんの広い俳句の世界は、まず並外れた行動力にある。こうした社会体験と趣味の豊かさ、自然に親しむ気持ちが、句の背景にある。病気と闘いながらも、句柄はいよいよのびやかで、明るい。月山のちんぐるまは、愛子俳句に花を添えるように毎年咲き続けるに違いない。
【女性俳人精華】
句集/茶歌舞伎
著者/野口久子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2476円(税抜き)
春興や一と日利休の茶歌舞伎に
若い頃からの嗜みであり趣味でもある茶道は、礼に厚く控え目な作者の人柄に深く影響している。茶事の句数は多く、一句の姿に雅の趣を作り出している。
【オリジナル句集】
句集/峠の時間
著者/佐野まさる
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)
父が植ゑし馬鈴薯花は母が摘む
まず思ったのは、佐野氏は抒情の人だということである。具体的に言うと、父・母・子など家族を詠んだ句が多い。ここには先師 大野林火の影響がみてとれる。一度俳句を止めた佐野氏が再び俳句に戻ってきてよかったと改めて思う。俳句をやっていればこそ、こうした作品を残し、家族を残すことができたのである。
【オリジナル句集】
句集/春隣
著者/荻沼嘉枝
判型/四六判上製/カバー装
価格/2500円(税抜き)
雄ひじわや農に向く手と言はれし日
萩沼嘉枝さんは常陸の地にお住まいですが、その土地にしっかりと根を下ろし、骨太の句を詠みつづけておられます。今回の句集には未収録ですが、私の大好きな一句をご紹介しておきます。
【オリジナル句集】
句集/沢登り
著者/西尾美穂子
判型/四六判並製/カバー装
価格/2000円(税抜き)
沢登り終へてこたびは芒漕ぐ
美穂子さんは俳句を始められてすぐ、頭角を現されたという印象が強い。それも、最近めきめき腕を上げて、目立つようになって来たというようなタイプの人にありがちな、巧みで狙いが際立つような作品ではなく、一読、おっとりした、さりげない情景を捉えていながら、そこに何とも言えない滋味、余韻が感じられる句が多いというところに、その特徴があるように思う。