新刊情報 – ページ 8

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翻波の衣

【俳句ライブラリー】
句集/翻波の衣
著者/榊原都留
判型/四六判並製/カバー装
価格/2100円(税抜き)

春風や翻波の衣の観世音

春はまだ浅い湖北を訪ねた。駅に下り立つと、湿った春の雪が降りだしてきた。寺院への道筋を駅員さんに尋ね、寺を訪れた。数人の先客があったが、観音様には一人で対峙することができた。 伏し目がちな面立ちで、すらりとしたお姿に翻波の衣を纏っていた。春風に衣が揺れているように見えた。立ち尽くして、肩の荷がすっと下りたように感じられた。人声がし、ふと我にかえった。今一度、拝顔し寺を後にした。

帯文より
金木犀

【オリジナル句集】
句集/金木犀
著者/仁神米子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

木犀の散り敷く金の庭を掃く

米子さんの感性の豊かさには、はっとさせられるものがあります。身辺のともすれば見逃してしまいうそうな点を切り取り、さらりと表現されることで溢れる詩情を感じさせます。

本田攝子「序」より
花蜜柑

【オリジナル句集】
句集/花蜜柑
著者/大塚禎子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

一村が蜜柑の花に噎せ返る

禎子さんも今や押しも押されもせぬ農民俳人といえるだろう。そしてこのたび句集を上梓するという大事業を乗り越えられたのである。禎子さんをこれ迄陰で支えてこられたご主人の理解と愛情に敬意を表したい。仮に日記代わりに俳句を作ることができたとしても推敲、整理して毎月投句するためには少なからぬ時間が必要である。時間が待ってくれない農家にとって句作のための時間を取る難しさは如何ばかりであったことだろう。

蟇目良雨「序」より
千枚田

【オリジナル句集】
句集/千枚田
著者/高塚梨花
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円円(税抜き)

千枚田満たす薄暑の走り水

梨花さんの俳句世界は、ひまわり俳句そのものである。つまり、庶民生活の中の新鮮な興趣を追い求め詠うということである。日常生活の中に当たり前に存在するモノ・コトをよく観て発見をし、梨花さんならではの易しい表現をすることに徹している。

西池冬扇「序」より
SURREALISME

【オリジナル句集】
句集/SURREALISME
著者/中内火星
判型/四六判上製/カバー装
価格/1650円(税抜き)

いかなるものにも属さない詩がある

当初は全作品「書き下ろし:でと考えたが、さすがにそれは及ばなかった。数句は古い句もあるが、大半の句はここ2~3年の句だ。 勿論「書き下ろし」も多々ある。また、カバー絵はピカソ、マチスのデッサン画を参考に描いたもので、ヌードと蛸の遊びである。中内火星(「あとがき」より)

母子草

【オリジナル句集】
句集/母子草
著者/古岡壽美恵・美惠子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

一日の初めの朝餉根深汁   花吹雪九品浄土に頻りなる

本句集は、千葉県市川市在住の古岡壽美恵さん、美恵子さん母子による異色の句集です。母は句歴三十六年、娘は二十二年と、お二人とも結構長い。しかし、句集に収めた作品は、俳句結社「雉」の同人参加以降で、母は二〇二一年から僅か三年間、娘は二〇一三年からの十一年間に過ぎない。二人とも「雉」同人以前の作品は潔く棚上げし、近詠でまとめられた。

田島和生