新刊情報 – ページ 67

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俗神(ぞろぞろ)

【オリジナル句集】
句集/俗神(ぞろぞろ)
著者/星永文夫
判型/変形判上製
価格/2800円(税抜き)

蛸壺に眠る晩年の逃避行

今回の句集のタイトル『俗神(ぞろぞろ)』に触れて思うのは、現在の仏教や神道以前にあった自然神、つまり、山川草木鳥獣虫魚にも宿るとされた古代の神々、いわゆる八百万の神々への憧憬がひそんでいる。とは言え懐古的・古代回帰的といった単なる復古思想ではない。

本多寿「序」より
種子

【オリジナル句集】
句集/種子
著者/森 潮
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

我もまた一つの闇か胡桃の実

父は「お前は芭蕉を知らないから、駄目なんだ」と言った。私は笑いを堪えて、「芭蕉なんか知らなくてもりっぱな人間はいます」と口応えをしたのだったが、何日か眠られぬ夜が続いたある日、父の処女句集『雪櫟』を読んだのがいけなかった。素直に感動してしまったのだ。そして母の残念な死を思えば、父の仕事を続けさせることが、私の使命のように思えたのである。

「あとがき」より
からくり箱

【オリジナル句集】
句集/からくり箱
著者/塚本みや子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

噴水の裏は真実かもしれぬ

思索的とも思える一句である。噴水の様式、種類、デザインにもよるが、ふつう噴水に表や裏はないであろう。ゆえに表や裏を考えたり想像したりして噴水を眺める人はまず居ない。自分の立っている側が表、その向うが裏であろうか。立ち位置を変えれば全く逆にもなろう。真実は、裏側にありそうに思えるが、それとて立ち位置が変れば動く。はなはだ心もとない。が、どこかにあるはず、と思う。ここに、作者の真面目さが私には見える。なぜならば〈自分にとっての真実〉を求めることが文芸の根底だからである。

中村和弘
ながれぼし

【その他】
句集/ながれぼし
著者/山下厚子
判型/変形判上製
価格/私家版円(税抜き)

ぼくのそだてたあさがおがラッパのようにひらいたよ

歌人であり、俳人でもある著者が手掛けた絵本詩集。

松﨑杜人句集

【オリジナル句集】
句集/松﨑杜人句集
著者/井本洋子 編
判型/四六判並製/カバー装
価格/私家版円(税抜き)

裸木の奔放俳界素浪人

艱難辛苦の開拓時代、妻二人に先立たれた上に持病の神経痛に悩み、どん底の貧乏を克服しつつの人生にあって、俳句があるから生きられると頑張り抜いた精神力は、私に無言の教えを残してくれました。そして、常に正座を崩さず机に向かう姿と気概は、生涯私の目標です。

長女・井本洋子
俳句の森

【オリジナル句集】
句集/俳句の森
著者/福田椿子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

味噌蔵に味噌樽ねむり山眠る

田舎に暮らし、四季の変化に聡くなり、家族を詠み、生活を詠む。家族に感謝する気持ちや家族を思う気持ちを俳句にして、ささやかではあるが生きている証を残していると言えようか。

エッセイより