新刊情報 – ページ 65

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雪つぶて

【その他】
句集/雪つぶて
著者/龍野 龍
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

一木を打つて芯立つ雪つぶて

龍さんは、俳句を捨てなかった。『手足』につぐ『雪つぶて』、第二句集である。河野邦子さんの後を受け「浮野」編集長の任にある。龍俳句の魅力は「内実の微妙の確かなる把握と簡朴にして清澄なリリシズムの徹底にある」を貫いている。「よく観ること、モノの核心を詠うこと」を水尾の観照一気の俳句から学んだという。〈一木を打つて芯立つ雪つぶて〉の立体を表現して過不足のない感動の表出は絶妙である。郷土共感の自然・生活を詠んだ多くの句から、私たちは人生の機微を学ぶに違いない。今後とも、生き生きとして楽しい俳句を詠もう。

「浮野」主宰 落合水尾
身の遥か

【オリジナル句集】
句集/身の遥か
著者/笠原壮介
判型/四六判並製/カバー装
価格/2200円(税抜き)

寒北斗夜勤に耐へし身の遥か

戦争に父親が召集され、氏自身はその少年時代を戦時下に育ったという経験を持つ。その体験も俳句に深く影響を与えていることとなる。だからこそ反骨の精神が培われたのだろう。実直で正義感の強い人柄が、一層その感を強くした。生活を見つめる俳句にも、社会的な問題を抜きにして作句はしていない。決して現実から目をそらさないのである。

衣川次郎
花野

【オリジナル句集】
句集/花野
著者/塩川京子
判型/四六判上製/カバー装
価格/3000円(税抜き)

大花野一本の道貫けり

高校生の頃から始めた俳句の道を歩き続けて、もう六十年以上になる。こんなに居心地の良い俳句という場所は私に取っては極楽のような、或いは「花野」のようなものである。秋の草花が咲き乱れる花野に、「阿吽」の仲間と、又或る時は一人で、自由に思う存分遊べる花野。高濱虚子はその著書『俳句への道』の中で、俳句は「極楽の文学である」と述べているが、私に取ってまさに俳句の世界は極楽の世界なのである。

「あとがき」より
優しき樹

【オリジナル句集】
句集/優しき樹
著者/青島玄武
判型/四六判並製/カバー装
価格/2000円(税抜き)

花は葉に花は優しき樹となりぬ

俳句は藝であり、藝とは演者と観客、作者と読者の間に渡す橋である。「優しき樹」は時分の花を全力で咲かせる。その花を愛でつつ、散ったあとを想いながらも拘泥しない。彼の架ける橋は大きく頑丈であり、しかも優しい。

中村安伸
甲斐

【オリジナル句集】
句集/甲斐
著者/清水淑子
判型/四六判並製/カバー装
価格/2500円(税抜き)

連山の紺深みゆく干大根

淑子さんは、山梨県上野原市にお住まいである。甲斐の風土の中で長年俳句を詠みつづけてきた。これらの句の風韻は、なつかしい甲斐の原風景をおもわせてくれる。

河内静魚
中山皓雪句集

【オリジナル句集】
句集/中山皓雪句集
著者/中山皓雪
判型/四六判上製/カバー装
価格/2800円(税抜き)

老い支度とは生き支度なり鮎を焼く

齢を重ねながら、なお前向きな姿勢の皓雪さん。何事にも一本気なところを持つ「水戸っぽ」の気質と、白潮師の高弟として厳しい修業を積んだが故に、生きる人間の流露する俳句を志し、人事の機微を詠える作家として大成した。

能村研三