新刊情報 – ページ 176

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火の破片

【オリジナル句集】
句集/火の破片
著者/川越さくらこ
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

マティーニ飲む雪しんしんと海へ降る

私は選句をしつつ小説を読んでいる錯覚に陥った。なぜかと言えば、川越さくらこという人物の半生がドラマトゥルギーに満ちているからだ。掲句は、まさしく川越さくらこの「いのち」と「たましい」そのものだからである。

角川春樹
薄雪草

【ミューズ選書】
句集/薄雪草
著者/宮原榮子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

真実の愛と優美なる詩心

「姫沙羅」俳句会は、三人の選者と会員から選出された幹事により運営されている風通しの良い開かれた結社であります。俳句の伝統を継承しながら個性を重んじ選者の任を各自果たしています。その一選者として表述の通り心深い愛と豊かな詩心に成る『薄雪草』は、秀句に充ちております。

加藤陽泉
返り花

【オリジナル句集】
句集/返り花
著者/宇野慂子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

吊り太鼓早打ちまぜて報恩講

加賀おんならしく、控え目で慎ましやかな作者である。自らの意思というより、周囲の強い勧めに促されての上梓なのかも知れない。だが三十五年に及ぶ揺るぎのない作句歴と、確固とした作品の成熟度である。とっくに世に出ていて然るべき期待の句集と言っていいだろう。

千田一路(「序」より)
振舞酒

【オリジナル句集】
句集/振舞酒
著者/佐久間敏行
判型/四六判上製/カバー装
価格/2190円(税抜き)

どんどの火爆ぜて振舞酒こぼす

行き届いた写生と ふところ深い視点から 人生の機微や節目 身辺の哀歓を、明るく、 きりりと詠み上げる。

続 日月

【その他】
句集/続 日月
著者/小笠原杜陵
判型/文庫判並製・ビニールカバー
価格/952円(税抜き)

初春の普段着でゆく墓参り

杜陵さんの情は、生地盛岡を愛し、亡妻の生地秩父を愛し、終の地清瀬を愛す。この第二句集は、亡妻の鎮魂集であり、杜陵さんの情が色濃く織りこまれている。

河内静魚
ずつと鬼

【オリジナル句集】
句集/ずつと鬼
著者/菊川俊朗
判型/四六判並製/カバー装
価格/2381円(税抜き)

隠れん坊してゐて九月ずつと鬼

掲句は句集名を得た句でもあり、私はこの句に氏の俳句姿勢が語られていると思う。鬼とは探求者としての作者であり、俳句の課題なり目標なりを追究する姿なのである。そして九月とは人生の半ばを過ぎた今時分の身に譬えられる。過去を振り返る余裕とともに未来を見据えて、俳句のテーマを探るには一番適した時機なのである。

森岡正作