新刊情報 – ページ 154

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花筏

【その他】
句集/花筏
著者/丸茂ひろ子
判型/文庫版並製・カバー装
価格/私家版円(税抜き)

動かずにゐる満月の花筏

第一句集を上梓してそろそろ十年になる。なかなか厄介な病気と共に歩んだ十年であった。五十年に近い俳句人生であるが、八十歳を越えてはじめて、俳句の楽しさを知った気がする。私の傍らにはいつも、俳句があった。

「あとがき」より
蟻耕す

【オリジナル句集】
句集/蟻耕す
著者/山岡蟻人
判型/四六判上製/カバー装
価格/2500円(税抜き)

田を打つやしだいに土のねばつきて

日々の暮らしの折々から豊かに俳句が湧き出した。これを読んでいるだけで、蟻人さんの暮らしが手にとるようにわかる。特に、季題は、農の生活の中から生まれたものだから、こういう実体験の農の俳句が詠まれることは、どんなにか季の世界を豊かにしてゆくことかとうなずかされる。

辻 桃子
囀りの椅子

【オリジナル句集】
句集/囀りの椅子
著者/上野紫泉
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

こんなにも囀りだれもゐない椅子

全体を通して窺えたのは、なにか自分という場を、自分という量を探し、「重み」として意識しようというような歩みである。紫泉俳句は春の「囀り」に始まり、秋の「色鳥」に収まるが、まだ自分史は続く。冬を越えて、また「囀り」にぜひ繋がってほしい。

豊田都峰
炭塵

【その他】
句集/炭塵
著者/荒金久平
判型/新書版並製/カバー装
価格/2000円(税抜き)

硬山の空美しき花火かな

炭鉱に働く一俳徒として、季感の少ない坑内や職場を描写し得る範囲は限られている。しかし、ありの儘を虚飾なく詠い続けたいと願う思念があればこそ今日まで俳句し得たものと思う。

著者
風の余白に

【オリジナル句集】
句集/風の余白に
著者/松瀬むつ江
判型/四六判上製/カバー装
価格/2500円(税抜き)

銃眼の風の余白の九月かな

松瀬むつ江には二つの流れがあった。創作のテンションが高まれば心象造型に針が動き、肩肘張らずに俳人気質に戻れば身辺詠に流れていく。その振幅をつづけながら、いま〈創る〉に向かって歩む姿勢がいちだんと濃くなった。松瀬作品が成熟した証である。それらを盛ったこの一冊、秋の詩の卓(テーブル)に置けば、きっと風がめくって、その余白の〈豊穣〉を燻(くゆ)らすだろう。

星永文夫
翔つ力

【俳句ライブラリー】
句集/翔つ力
著者/野村邦翠
判型/四六判並製/カバー装
価格/2095円(税抜き)

翔つ力砂に刻みて冬鷗

「砂に刻みて」は実際の写生を超えた、冬鷗の飛翔に加勢しないでは居られない愛情のほとばしりが砂に刻ませたものであろう。

中坪達哉