新刊情報 – ページ 153

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母の香の扇子

【オリジナル句集】
句集/母の香の扇子
著者/高階菊村
判型/四六判並製/カバー装
価格/1900円(税抜き)

畦道の緑走れる雨水かな

想いありて、緊張を強いられる仕事を遠のいた高階が、晩年に来て文學に堰を切る。それは文豪が晩年に野の花をスケッチし、画伯が随筆を認め、追い求め行く美しさを、自分の領域で描ききれなかった無様さにケジメをつけて、人生の辻褄を合わせるのと似てはいまいか。そう想う時~俳人高階の掌からこぼれ落ちる砂金のようにキラキラと輝く真実の言葉のひとつひとつが、たまらなく愛しく切ない。

作詞家 東海林良
奈良団扇

【女性俳人精華】
句集/奈良団扇
著者/大浦郁子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2476円(税抜き)

奈良団扇かざして見ゆる角振町

この句は、本句集の題名になったもので、奈良団扇は、手漉き和紙を染め、天平模様や奈良の風物を透かし彫りしたもの。今では奈良市内の角振町というところにある池田含香堂という店一軒のみで売られている。角振町は「つのふり」と読む一風変わった町名で、「元の木阿弥」という有名な諺はこの町から生まれたそうだ。

能村研三
行雲流水<三>

【オリジナル句集】
句集/行雲流水<三>
著者/久保節子
判型/四六判上製/カバー装
価格/3000円(税抜き)

まだ人生の輝いてゐる夏帽子

優しく限りない愛情で私を育んでくれた父と母、人生を共に歩み今も私を支え続けてくれる亡き夫、そして、私の人生のすべてである息子・洋一郎。この句集にあるのは、こうしてたくさんの愛に包まれて今日の私があることへの、心からの感謝の気持ちです。

「あとがき」より
蔵の窓

【俳句ライブラリー】
句集/蔵の窓
著者/小川紫翠
判型/四六判並製/カバー装
価格/2095円(税抜き)

向日葵のうしろに暗い蔵の窓

向日葵という植物は強烈な太陽を感じさせる。とにかくめっぽう明るい花だ。その明るい向こうに何代も続いたであろう古い蔵があって、暗い穴のような窓が見える。この明暗の対照に作者はふと人生を覗いてしまう。

加藤拝星子
雷鼓

【平成俳人群像】
句集/雷鼓
著者/山口素基
判型/菊判上製・カバー装
価格/2667円(税抜き)

雷鼓打ち天に神あり稲の花

俳句も絵画も求めるところは同じなのではないかと思える。そうであるなら、「命の輝きを求める」ということに繋がっているではないか。集中に、もし一句なりともこの「命の輝き」の片鱗を捉えられていたならば、望外の喜びである。

「あとがき」より
桐の花

【オリジナル句集】
句集/桐の花
著者/嶋木勝次郎
判型/四六判上製/カバー装
価格/私家版円(税抜き)

東京を墳墓と決めて桐の花

再び上京して焦土と化した東京でクリーニング業を再開、ご苦労の末に業界の重鎮まで昇りつめることになりました。人一倍故里を愛し、父母を思い、郷愁の念を深くしながらも東京を終の棲家と決めた心境を詠んだ作品です。

環 順子