2015 年 07 月号より
四月に安倍晋三首相が訪米したとき、ホワイトハウスの晩餐会で首相出身地の日本酒『獺祭』が乾杯に供されたそうだ。獺祭についての説明は本誌読者には蛇足であろう。私が少年のころに暮らしていた高知県ではカワウソは身近な動物で、夏に川で遊んでいるとすぐ近くでカワウソも泳いでいた。カワウソの毛皮は良質でそのため乱獲され、やがて姿を消してしまった。二十年ほど前、カワウソの糞が須崎市の新荘川の川原で見つかったという記事が新聞に大きく載った。新荘川沿いの道路には「カワウソの棲む川」という立看板が建てられた。二年前、テレビのニュ-スでカワウソが絶滅種に指定されたことを知った。 八月に『よさこい祭』の見物をかねて "帰郷"する。ついでに新庄川まで足をのばしてみようと思っている。ウソ発見器を持参して。
2015 年 06 月号より
二十数年前「結社の時代」という言葉が話題となった。角川書店の「俳句」編集長秋山實が提案したキャンペーンで、一種の流行語になった。だが成果らしいものはほとんど無かった。稲畑汀子さんによると「結社の時代」の次は「俳句総合誌の時代」であったという。そう言われるといささか面映ゆい。近年、総合誌がオピニオンリーダーとして力を発揮したことは皆無に近い。現代の俳壇を私は「混沌の時代」と呼びたい。主宰の高齢化による病気や死亡で伝統ある結社が相次いで解散に追い込まれている。これから、結社の将来はどう展開していくのだろうか。私は一縷の希望を抱いている。"混沌の力"という言葉がある。カオスの中から、平成の芭蕉・子規と呼ばれるような若い才能が忽然と現れてくるーそんな予感がするのである。
2015 年 05 月号より
少子高齢化が社会問題となっている。お隣りの韓国・中国においても同様であると聞く。特に中国は一九七九年に始まった〝一人っ子〟政策の反動で深刻な事態におちいっているようだ。先日、『世界オモシロCM』というテレビ番組を観ていたら、中国のCMが紹介された。五十歳を過ぎた息子と八十歳くらいの父親が二人で暮らしている。父親は認知症である。息子が父親をつれてレストランに行くと、父親はギョーザを二個ほど口にしただけで残りはポケットに詰め込む。「家にはギョーザの好きな息子が待っているんだ」と認知症の父親は話す。あらすじを文章にすると素っ気ないが映像で観るとグッと胸に刺さる。三十秒のCMが一時間ドラマに匹敵する感動で涙を誘う。十七音の俳句が一篇の小説よりも深い感動を呼ぶことがあることを俳人なら誰でも知っている。
2015 年 04 月号より
坂東三津五郎さんが亡くなられた。享年五十九。あまりにも若い死である。初めて三津五郎さんに会ったのは二〇〇一年、黛まどかさんを中心とした「百夜句会」第一夜の席。二年後の〇二年五月、博多座で十代目三津五郎の襲名記念公演が行われたとき、福岡市にあるわが家で襲名祝賀句会を開いた。参加者は黛まどかさん、数学者の藤原正彦さん、俳優の辰巳琢郎さん、マラソンの増田明美さんなど十余名。一芸一能に秀でた人たちの集まりだけに宴会のような賑やかさであった。だが、どんなときも三津五郎さんは和服の膝を崩すことは無かった。一昨年の夏、博多の居酒屋で酌み交わす機会があった。店の女将が色紙を差し出すと、毛筆でていねいに一句したためた。<討入を果たして残る紙の雪 三津五郎>
2015 年 03 月号より
読んだことも聞いたこともない言葉が、ある日突然、新聞やテレビで報道されることがある。最近では「限界集落」や「消滅可能性都市」等である。二つの言葉に共通するキーワードは〝少子高齢化〟である。特に少子化は産業の生産力、購売力の低下を招き、あらゆる分野において衰退傾向をたどる原因となる。俳壇においてもその兆候はあらわれている。昨年、九州地区において主宰の死亡により解散した結社は「椎の実」(神尾久美子主宰)、「蕗」(倉田紘文主宰)。今年に入ってからも主宰の病気により「白桃」(伊藤通明主宰)、「菜殻火」(野見山ひふみ主宰)が休刊に追いこまれた。いずれも九州地区における有力結社であった。この傾向は今後も全国的に拡散していくことが予想される。 いま、結社や協会にどれほどの危機感があるのかを問いたい。
句集自費出版の説明へ
俳句界ニュース LINE
恋する俳句
め~る一行詩
第16回山本健吉賞決定

あなたの記念の一句を、日本酒、ワイン、焼酎のラベルに刻印(浮彫/平彫 金仕立)します。詳細は、こちらへ。
光明兼光本店 姫路市飾磨区構5-198
TEL:079-234-1234