2016 年 06 月号より
以前、西村和子さんが新聞に「俳句総合誌は書き手を育てる役割を忘れてはいないか」という趣旨の評論を書いていた。それを読んだとき、私は少なからずショックをうけた。当時、「俳句界」の発行を前経営者から引き継いで三、四年目のころで、編集にも経営にも悩んでいた。「書き手を育てる」ということは、斬新な企画で若手の作家や評論家に原稿依頼をするということであろう。いわれてみると俳句総合誌の内容は百年一日の如しである。紙の雑誌はもうすぐ絶滅すると言われて久しいが、それを読者の活字離れのせいにして編集者は一顧だにしない。俳句雑誌だからワクを越えたことはできないと考えるのではなく、むしろ俳句雑誌だからこそ大胆な企画も許されるのだと考えたほうが、新しい途がひらけるのかもしれない。
2016 年 05 月号より
日本ペンクラブという団体があることは以前から知ってはいた。ペンは筆記具のことで文筆業に携わる人たちの総称だろうと勝手に推測していた。ところが「PEN」にはちゃんとした意味があることを初めて知った。ポエット(詩人)のP、エッセイスト(随筆・評論家)のE、ノベリスト(小説家)のNを合わせ「PEN」を表しているという。入会には会員二名(うち一名は理事)の推薦が必要で、さらに文芸的著作物が二作品以上ある作家に限られるという。かなり狭い門のようだ。そのペンクラブから入会案内が届いた。年老いた私が今さら入会しても何の役にも立たないだろうと考えて躊躇したが、とりあえず申込書を送っておいた。俳句雑誌の編集者として新しい情報を発信できたら意義あることだろうと考えている。
2016 年 04 月号より
敗戦の混乱期を高知県の片田舎で過ごした。十四、五歳のころから俳句や詩を東京の雑誌に投稿することが唯一の楽しみであった。社会に出て人生のどん底を放浪していたときも俳句がいつも傍にあった。今、人生の終りにさしかかって俳句雑誌の仕事に携わっているえにしを不思議に思うと同時に神に感謝している。出版業界は過去に経験の無いきびしい冬の時期にある。少子高齢化とインターネットや電子書籍の普及による活字離れから雑誌の廃刊、書店の倒産が後を絶たない。紙の雑誌は近い将来、絶滅するだろうといわれている。十代〜二十代のころ雑誌に触れなかった世代が将来、消費の主役になったとき、出版業はどうなるのか。「余命」という言葉が身にしみる齢となった。残された時間をこの仕事に全力を注ぎたいと願っている。
2016 年 03 月号より
米カリフォルニア工科大は、同大の研究チームが太陽系で地球から最も遠い惑星「海王星」からさらに離れたところに、地球の約十倍の質量を持った巨大な「第9惑星」が存在する可能性を示す証拠を発見したと発表した(1月22日付各紙)。「第9惑星」が太陽を一周する公転周期は一万〜二万年と推定されるという。海王星でも公転周期は二〇〇年にもならない。この想像を絶する宇宙空間は一体どのようにして創造されたのか。現代の科学では"造化の神"という詩的表現でしか説明できない。宇宙空間は今もなお膨張しているという。しかも膨張は加速しているという。そもそも真空の空間が膨張するとはどういうことなのか。宇宙の外には何があるのか。謎はますます深まるばかりである。宇宙飛行士山崎道子さんの俳句。<瑠璃色の地球も花も宇宙の子>。
2016 年 02 月号より
印刷工場から届いたばかりの小誌一月号をパラパラと読んでいたら、別冊の雑詠欄夏石番矢選に<ちんぽこが勃ったらいいなぁ螢見て 神戸千寛>という句が目にとまった。こういう句が発表されると必ずといっていいほど賛否両論が起きる。私はこの句に三重マルである。男にしかわからない哀愁とペーソスがある。能村登四郎の<今にある朝勃ちあはれ木槿咲く>を思いだす。<蒲団敷く地獄極楽絵図のまへ 辻桃子><佐渡ヶ島ほどに布団を離しけり 櫂未知子><春はあけぼの陰の火傷のひりひりと 辻桃子><華麗な墓原女陰あらわに村眠り 金子兜太><花冷のちがふ乳房に逢ひにゆく 眞鍋呉夫><乳房にああ満月のおもたさよ 富澤赤黄男>どの句も大胆かつ自在。実体験と心象風景を重ねることによって俳句の表現世界は一編のドラマとなる。
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第16回山本健吉賞決定

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