2010 年 01 月号より
インターネットなどによる情報の多様化で活字メディアの未来は暗い。新聞王国イギリスの有力紙「イブニングスタンダード」は昨年秋から無料配布に踏み切ったという。日本の新聞社の中でも超優良企業とみられていた朝日新聞社と日本経済新聞社が20099月中間決算でそろって赤字という。つい最近までわが世の春を謳歌していた新聞・テレビなどのマスメディアは生き残りをかけて熾烈な競争を繰りひろげている。ましてや俳句という小さなジャンルの出版社の実情は推して知るべしである。俳句雑誌の出版で黒字を計上することは、空飛ぶ鳥を草矢で撃つようなもの。いま、俳句総合誌を発行する出版社はNHKを含めて七社ある。その中でも「文學の森」は社歴も浅く経営基盤も脆弱である。だが、会社は小さくとも雑誌づくりにかける情熱と編集内容で日本一の座を獲得することはユメではないと信じている。「夢」を国語辞典で調べると「容易には実現できないこと」とある。そのユメを追って新しい年のスタートを切ります。
2009 年 12 月号より
「もういくつ寝るとお正月」というわらべ唄を思い出す時節となった。俳句では「数へ日」という。いい言葉だと思う。まだまだ先のことと思っていたことが、あっというまに迫ってきて、あっというまに遠い過去となっていく。新年会の席で「もうすぐ正月が来ます」と挨拶すると居合わせた人たちはどっと笑うが、その笑いの中に“そうだよなぁ”という空気がまじっていることを感じる。加藤楸邨先生から「60歳を越えたら矢のように時間が過ぎていきます」という手紙をもらったことがある。そのころ40歳そこそこだった私はその手紙を他人ごとのように思っただけだった。数年前、筑紫哲也氏から「歳月人を待たず」という葉書をもらったときは自分のことにひきつけてしみじみ考えた。その筑紫哲也氏も1年前にこの世を去ってしまった。鬼が笑うひまもなく2010年に突入する。
数へ日の松風をきく齢かな         勝又一透
松過ぎの又も光陰矢の如し        高浜虚子
みなさまどうぞ良いお年を。
2009 年 11 月号より
この二、三年の間に総合雑誌や婦人雑誌がつぎつぎと廃刊に追いこまれた。雑誌は面白くなければ読まれない。俳句総合誌といえどもである。いま、俳句総合誌は七誌あるが、表紙を剥がしたら中身はどれも似たり寄ったりという批判を聞く。では具体的にどうすれば差別化を図れるか。“面白い”内容とはどんな企画か。思いうかぶ案は手垢のついたものばかり。こんなときは読者の声を聞くことがいちばん参考になる。七月号から「読者アンケート」のハガキを添付している。本誌に対する要望・提案や辛口のご意見等をお待ちしております。
※11月26日(木)、東京で「読者交歓パーティー」を開催します。日頃、なかなかお目にかかることのできない読者のみなさまと親しくお話しを交わしたいと思っております。読者にとっても投句欄のライバルや選者の先生方にお会いできるチャンスでもあります。お誘い合わせのうえ一人でも多くご参加くださいますようお待ちしております。
2009 年 10 月号より
「文學の森」を興して満七年目となる。当初は三年も経ったら誰か若い人に後を継いでもらうつもりで始めたが、赤字経営から脱却できないまま今日に至っている。今となってはこの仕事が私のラストステージだと考えている。最後の仕事という意味だけでなく人生の締めくくりとしてこの仕事をやりとげたいと心に決めている。社員十九名。労働条件も職場環境も決して恵まれてはいないが、全員黙々と頑張ってくれている。深夜、編集部に電話をするといつも必ず誰かが残業している。そんな努力が実ってか、ことしになってから本誌の販売部数が毎月確実に伸びている。目標を決めて肚を据えたら零細出版社の経営もそれなりに楽しいもの。とは言っても個人の体力には限界がある。「文學の森」をいつ誰にバトンタッチするか。俳句結社と俳句出版社は似て非なるもの。だが組織の継続継承の難しさはどこか相通じるものがあるかもしれない。今月号は「結社継承」について考察した。
2009 年 09 月号より
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。
三好達治の有名な二行詩である。この詩は蕪村の墨画「夜色楼台雪万家図」の讃として生まれたというエピソードが、七月、NHKの『日曜美術館』という番組で放送されたのでご覧になった読者も多いだろう。実は、この話を初めて世に紹介したのは山本健吉である。昭和五十九年、毎日新聞社刊『蕪村画譜』という画集の序文で次のような裏話を書いている。三好達治と親しかった俳人の石原八束が訪ねて来たおり「三好さんは、あの詩は蕪村の『夜色楼台雪万家』というのがあるでしょう。あれだって言うんですよ」という話を洩らしたというくだりがある。もし、石原八束が山本健吉に話していなかったら、この逸話は永久に人々に知られることがなかったかもしれない。それにしても三好達治の詩のなんと美しくも哀しいことよ。現代俳句が忘れて久しい原初の“愛”が胸をうつ。抒情俳句の復興を願って特集を組んだ。
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第16回山本健吉賞決定
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