2010 年 12 月号より
本誌に好評連載中の『佐高信の甘口でコンニチハ!』は今月号から6年目に入る。これまでに登場いただいたゲストのごく一部を抜粋してみる。筑紫哲也、都はるみ、浅井愼平、檀ふみ、井上陽水、中村吉右衛門、川中美幸、小沢昭一、佐佐木幸綱、山田太一、嵐山光三郎、辻井喬、なかにし礼、加藤登紀子、大竹まこと、吉行和子、姜尚中、中島誠之助、森村誠一、櫻井よしこ、篠田正浩などなど。番外編では星野哲郎、船村徹、梁石日も。一回の休載もなく5年間続けてこられた佐高氏に深謝。来月号はプロ野球解説者の張本勲、引きつづき映画俳優の菅原文太など豪華な顔ぶれが候補に上がっている。俳句雑誌にあるまじき無鉄砲な企画ではある。=文中敬称略=
2010 年 11 月号より
つくつく法師の声がぱったり聞こえなくなったなあと思っていたら、今朝(9月30日)隣家の庭から「ツクツクホーシ、ツクツクホーシ、オーシック、オーシック」という鳴き声が聞こえてきた。心なしか弱々しい鳴き方であるが、しみ透るような声が耳の底に残った。おそらくこれがことし最後の法師蝉だろう。〈鵙に空譲る前にて法師蝉 山口波津女〉季節は移り、人の世も移り変わる。現代俳句協会青年部主催の「俳句以後の世界」というシンポジウムのパンフレットにこんな文章が載っていた。「俳句の終焉は、いつ訪れるのか。あるいは、俳句はすでに終焉しているのか」――果たしてこれからの俳句は何をめざしてどの方向に進んでいくのだろうか。
2010 年 10 月号より
今月号は急遽「森澄雄追悼特集」を組んだ。当欄では澄雄先生の長男潮氏(「杉」編集長)について触れてみたい。95年、澄雄先生は脳溢血で倒れ左半身に麻痺が残り、歩行、会話も不自由となった。それ以来、潮氏は澄雄先生の介護に専念することになる。毎年のように近江や九州を旅するとき、潮氏は車椅子を押し、会話を取り次ぎ、食事、トイレ、入浴の世話をした。1年365日、澄雄先生のそばにはいつも潮氏が付き添っていた。それは父と子というよりも聖職者の姿のように私の目には映った。誰よりも澄雄俳句の理解者であり、誰よりも師澄雄を尊敬していたのは俳人潮氏だったのだと、今さらながらに思う。潮氏よ。これからの時間は自分自身のために、そして澄雄先生の遺志を継いで「杉」の灯を守り続けられんことを――。
2010 年 09 月号より
作句で脳を活性化、吟行で足を鍛錬、句会で心をリフレッシュ――。俳句に親しむことで身心共に健康になれる。生き生きと自分らしく長生きできるなら、俳人にとってはこの上ない話である。事実、俳句や短歌、絵画、音楽などを趣味とする人は長寿であるという。今月号の特集「俳句で130歳まで長生き!」の企画で見落としていたことが一つある。投句の楽しみである。結社に所属して尊敬する主宰の選を受ける。結社誌が届くまでの期待感、上位に選ばれたときの感激。新聞俳壇や俳句総合誌の投句コーナーも同じである。私は、加藤楸邨の「寒雷」で俳句を学んだ。30代から50代後半までの私の生活は「寒雷」中心であった。家庭よりも仕事よりも「寒雷」が私の心の支えであり喜びであった。楸邨先生の謦咳に接したくて、毎月、福岡から東京の句会に参会していた頃が懐かしい。今の私にとって不幸なことは、投句の楽しみが無いことである。本誌の投句欄にこっそり応募してみようかと本気で考えたりしている。ただし、たいへんな難関であると聞く。はてさて如何したものか……。
2010 年 08 月号より
先月号の本誌で「この俳句、さっぱりわからん」という特集を組んだ。この企画は、私が日頃ぼやいている言葉をそのままタイトルにしたものである。プロローグとして編集長の林誠司と編集顧問の大井恒行との対談を載せている。句作りにおいて平明を標榜する林と難解を自認する大井との議論はどこまでいっても噛み合わない。同じ特集の中で、いわゆる“難解派”と称される俳人9名が自句自解を書いている(1名は他者の句)。その解説文がまた私にとっては難解である。この企画に対して多くの反論が寄せられるだろうが、それが本誌の狙いでもあるのだ。私の先師加藤楸邨は自身の難解俳句について問われたとき「わかるという点で犠牲を払ってでもカオスに対して体当たりしていくよりほかに仕方ない」と答えている。“カオス”を辞書で調べると「混沌。天地創造以前の状態。すべての事物を生みだすことのできる根源」とある。楸邨ならではの含蓄ある言葉だ。その楸邨に〈天の川わたるお多福豆一列〉という句がある。私にとっては永遠に解けない謎の一句である。
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