●毎月25日発売
●A5判  ●定価1,000円

○ 月刊 俳句界 2014年11月号 ○
特   集
あなたの俳句はなぜ佳作どまりなのか?
(辻 桃子 増成栗人 松本 旭 今瀬剛一 山崎ひさを 茨木和生 他)
特別作品21句競詠
松浦加古 佐久間慧子 大木さつき
俳句界NOW
有山八洲彦
大人のエッセイ
山本一力 加藤登紀子 他
魅惑の俳人 73
小澤克己

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俳句ボクシング・今月のチャンピオン
俳句ボクシング・今月のチャンピオン【赤コーナー】
雲も飛ぶ河馬の放屁や天高し
愛知 石川峰男
俳句ボクシング・今月のチャンピオン【青コーナー】
町の長たりしは昔土用灸
大分 天領杉太朗
雑詠
雑詠-有馬朗人・選
背泳の指先触るる北斗の柄
北海道 小野恣流
夜、プールか海でのんびり背泳をしている。見上げると満天に星が輝いている。北天の方には北斗七星が見えており、その柄の先が指先に触れそうな低い所まで伸びている。夜泳の光景が佳く描かれている。
水鉄砲子らの居ぬ間に試し撃ち
東京  高橋千花
子どもが欲しがっていた水鉄砲を買って来た。どのくらいまで水がとどくか、先ずは試してみようと、撃ってみたのである。これなら子どもに撃たれたとき、どのくらい離れていれば大丈夫かなどと心づもりをするのも楽しい。明るい句である。
紙切りの影絵涼しや寄席囃子
千葉  仁藤輝男
寄席で、観客が思い掛けない題を出し、それに見事に応えて紙を切る芸を見るのは楽しい。切り出した紙を使って影絵を写し出した。そのとき夜涼を感じたのである。夏の一夕の寄席の雰囲気が佳く描写されている。
雑詠-伊藤通明・選
喪の明けの風を通せり夏座敷
神奈川 野地邦雄
四十九日の忌明けもすみ、供えてあったさまざまのものを片付けた部屋に、久し振りの風を通すことができた。昨日までとは違い、日常に戻った夏座敷を涼風が吹き抜けていく。故人を滞りなく彼岸に送ることのできた安堵感が、風と共に伝わってくる。
初生りの胡瓜の棘に刺されけり
徳島  岩佐松女
家庭菜園などで、丹精こめて育てた胡瓜に、黄色の花が咲き実となり丈も伸びてきた。初生りの瑞々しい緑に手を触れると、小さい棘が無数についていて痛い。棘のある胡瓜など店頭では殆ど見ることができない。棘に刺された痛さよりも収穫の喜びの方がずっと大きかったに違いない。
大物になりさうな児の昼寝かな
東京 星野幸子
腕白で手におえない児が、遊び疲れて大の字になり悠々と昼寝をしている。少しくらいの音や声ではびくともせず、ぐっすり寝込んでいる。その寝顔を見ていると「この子は、案外大物になるんじゃないかな」との期待が湧いてくる。そんな親の気持が表現されていて楽しい。
雑詠-茨木和生・選
泥落し地酒に祝歌も出て
奈良 佐藤哲生
田植が終わったあと、一日の休みをとって飲み食いをする慰労会のことを、山口県をはじめ、 西日本では「泥落し」というところがある。手作りの料理が出され、うまい地酒も振舞われると、 座は昂ぶって誰彼となく祝歌が出て、手拍子も加わって賑やかな泥落しとなる。
しなやかにしたたかに蛇泳ぎけり
熊本 加藤いろは
大きな池だろうか、あるいは幅の広い川だろうか。水に頭を入れて泳ぎ出した蛇はその身をしなやかに揺すりながら泳いでゆく。水を切り進んでゆく蛇は対岸にまで泳ごうとしているのだろうか。その泳ぎはしたたかである。泳ぎ出した一匹の蛇を追うように詠んでいる。
裸の子いづれ寺継ぐ仏の子
大阪 田村昶三
裸ん坊になって元気に寺の庭を駆けている子どもがいる。いまは無心になって遊んでいるこの元気な子も、いずれはこの寺を継いで住職になる子である。おいおい寺を継ぐことを教えられてもいくだろうが、いまはなんとも大らかな子である。口遊んでみて調べのよい句である。
雑詠-大串章・選
暑気払ひ高高と詩を吟じけり
千葉 三木星音子
暑さに負けないよう、酒を飲んだり歌をうたったりして興じ合う暑気払いで、朗々と詩を吟じている。年季の入った吟詠ぶりは聴く人を魅了してやまない。この詩吟、はたして何であろうか。「白虎隊」であろうか、それとも「川中島」であろうか。いずれにしても気持の良い句である。
金魚にも名水少し分けてやる
福井 木津和典
最近は「平成の名水百選」なども生まれ、茶の湯や酒造に重宝がられている。その名水を汲ん できて(あるいは買ってきて)金魚にも少し分けてやるというのである。金魚の美しさが一段と 鮮やかに見えるに違いない。もっとも、金魚が名水を喜んでいるかどうかは別問題である(笑)。
色走る刹那蜥蜴のかたちして
神奈川 神野志季三江
あっ、暗褐色が過る(!)と思って足元を見ると蜥蜴であった、というのである。「色走る」 と言った後、間髪を容れず「蜥蜴のかたち」と言いなしたところにこの句の魅力がある。一瞬の 出来事を素早く作品化するのは短詩型俳句の特技と言ってもいい。蜥蜴もびっくりの佳句と思う。
雑詠-角川春樹・選
氏素性あるがまま生きアッパッパ
東京 星野幸子
「アッパッパ」は、主に家庭用の女性のワンピースのことで、簡単服とも呼ばれ、大正末から 昭和初期にかけて広まった。掲句では、「氏素性あるがまま生き」という措辞を受けることで、 アッパッパが実におおらかなリズムと句意を、一句にもたらしている。
土星に腰下して神の端居かな
茨城 野口英二
「端居」とは、夏に縁側や窓の近くで暑をさけてくつろぐことである。掲句の眼目は、端居をしている自分を、たそがれている神になぞらえて表現したところである。土星の環の一隅に、くつろいでいる神がいるという豊かな発想が愉快であり、悲哀がある。
羽脱鶏一羽曲れば皆曲る
島根 大島一二三
「羽脱鶏」とは、冬羽から夏羽にぬけかわる鳥のことで、その容姿から俳句ではあわれにも滑稽にも詠まれてきた。俳諧味ある季語の一つである。掲句では、その一群の様子を描写することで、季語の持つ象徴効果をうまく引き出している。また人間への諷刺ともアイロニーとも取れる。
雑詠-辻桃子・選
雪加鳴く牧のミルクは噛んで飲む
滋賀 北村和久
牧場では牛が数頭ずつ群れ、それぞれ首を垂れて草を食べている。牛乳を求めると、その濃さ、コクのある甘さが口いっぱいにひろがり、噛むように飲んだ。雪加が気持よさそうに鳴きながら飛んできた。聴覚と味覚と、牧場を楽しむ作者の姿が見える。
小かまきり細工のごとし葉に遊ぶ
大阪 岡野和代
まだ成虫になっていないかまきりが葉っぱに何匹かいたが、それが精巧な細工のようだったという。小さいけれど、その姿は過不足なくかまきりの形をしている。そんな「小かまきり」が一枚の葉の上で遊んでいる。中七の比喩が意表をついていて面白い。
若葉冷えキャパの遺愛の二眼レフ
埼玉 横田幸子
報道写真家ロバート・キャパは、最後の年東京ですごしたあとインドシナへ赴き、地雷を踏ん で亡くなった。近年、キャパの写真展や回顧展があり、これもその展示に取材した句であろう。「若葉冷え」という季語がキャパ愛用の二眼レフを鋭く支えている。
雑詠-豊田都峰・選
玉虫やクレオパトラの媚薬めく
埼玉 向山文子
「玉虫」の羽根は光線の当り具合で緑・紫・黄金などに見えてきらびやか。その光沢のような雰囲気をクレオパトラの、しかも「媚薬」に譬えたところを頂く。彼女と英雄との出会いなどを想像しつつ、華やかな舞台に登場した玉虫のきらびやかさは楽しい。
青蘆や父にもありし少年期
群馬 本田 巖
上五に「青蘆」を据えたことがすべてであり、「芦」としないで「蘆」としたことも注目したい。 当然「父」との関係においてである。夏の水辺に若々しく鮮やかな色をもって茂っている青蘆。 その在り方が父への、そして少年期への父への凜々しい生きざまとなる。
手つかずの日日のまだあり大夕焼
東京 池本一軒
この作品のポイントは「大夕焼」。明日の晴れが約束出来る自然現象である。明日も、という 思いが、さらに拡がって「手つかずの日日」という措辞もよく、「まだあり」と確認しつつ未来 に向かい発展的に思いが拡がるという次第。
雑詠-西池冬扇・選
白南風や上から乾く鎖樋
東京 川瀬佳穂
鬱陶しい梅雨が明ける。白南風には、そういう期待感がある。仏寺や玄関等の庇から垂れている鎖樋は目立つ装飾。人はふと立ち止まり、それを見上げる。作者は鎖樋の上の方が乾きはじめたことに気づき季節の移り変わることを実感した。何気ない事に趣を見いだすのも俳人の楽しみ。
村長の肩に御幣や青田道
徳島 錦野斌彦
農村の変質は過疎と高齢化で新たな段階になりつつあり、民俗的風習も次第に失われている。 それでも良き伝統を絶やさぬ努力をしている地域は多い。水口祭か田植祭の時であろうか、村長 が先頭に御幣をかついで歩いている。俳人はその姿を写生し趣を句にすることで無形文化を守る。
袖少し斜めのままや衣紋竹
三重 橋本 薫
リアリティのある光景を提示することで生まれる趣。俳句らしさの一つであろう。衣紋竹は竹 製の衣紋掛。この句は衣桁ではなくハンガー状であろう。羅がかかっているに違いない。〈羅を ゆるやかに着て崩れざる〉は松本たかしの句だが、この句では何故か袖が斜めにかかっている。
雑詠-保坂リエ・選
木道は雨傘の幅花菖蒲
東京 星野幸子
「木道」と言うと即、思い出すのが尾瀬の水芭蕉を吟行したときに歩いた長い木道。その木道 が傘の幅だという。成る程よく言い得ている。俳句は言葉の世界。使い古された言葉を使いつづ けても不思議に同じ句は生まれない。「木道は雨傘の幅」大きな言葉の発見であった。
手の平は小さなお皿さくらんぼ
神奈川 山中 萌
気の合った女性五、六人で言いたい放題のお喋り仲間が揃っている。お茶菓子の一つであろうさくらんぼ。お喋りすることが唯一の楽しみ。日頃夫や子の面倒をみている主婦がある日、ある時、鬱憤をはらしている。そして老齢を迎え未知の世界に旅立つ。愛すべきは主婦である。
蜘蛛の囲を払ふも一つ忌の用意
神奈川 横山みよし
気になっていた蜘蛛の囲。庭隅、玄関の植込みの隅とあらゆる処に蜘蛛の囲が張られている。 作者は今、己が己を縛り悲壮な決心をしている。発想が労しい。今頃はもう念願叶ってご法事も 終わったことであろう。「忌の用意」の表現に意外性を齎し一句を成したことに惹かれた。
雑詠-宮坂静生・選
星降る夜独りぼっちの星降る夜
東京 津沢マサ子
「星降る夜」を上五、下五に繰り返し、秋たけなわの星夜の寂しさをじっと噛みしめた作。宇宙的な、救いようがない孤独に自分を追い込み、耐えている。どうしようとできるものでもない。十分にそれをわかりながら詠わざるを得ない。作者は高柳重信門の高名な俳人。どうかご達者で。
黴といふ心にも生え易きもの
大阪 吉田 喬
物に生える黴は拭えば取れる。が、心の黴は簡単には拭えない。陰陰滅滅、沈みゆくばかり。 どうしたらよろしきや。自分で「えいや」とばかり、心の切り替えをする以外に打つ手はなし。 ユニークな句である。大阪の森川暁水に『黴』という句集があった。どうぞお読みください。
ひまはりのまつすぐに立つ狂気かな
広島 涼川華生
向日葵が狂気の花。ゴッホが愛したばかりにそのように思われたのではない。度を過ぎた強烈な太陽型。花自身情念に身を任せ、歯止めが掛からなかったのであろう。大きくなりすぎ、強烈になりすぎ、花の「やさしさ」を忘れた花。それを好んで愛する人も多い。作者もその一人。
兼題
今月の兼題…【雲】
兼題-大高霧海・選
むくむくと七月生る雲の奥
愛知 川口邦彦
激動の昭和は遠し雲の峰
福井 木津和典
美ら海に雲の墓標や終戦日
大分 下司正昭
兼題-佐藤麻績・選
ウェストン祭穂高は雲を祓いけり
大阪 西向聡志
川越は蔵多き町雲の峰
愛知 浅井清比古
楽奏の雲中菩薩堂涼し
京都 除門喜柊
兼題-田中陽・選
望郷の蹠刺したる雲丹の棘
宮崎 萩原郁美
二十世紀の夏の爆弾茸雲
新潟 行田暁子
黒雲を仰ぐ少女の浴衣かな
埼玉 柴田婆娑羅
兼題-名和未知男・選
峰雲や野麦峠に哀史の碑
岐阜 廣瀬あや子
雲水の終に帰らず青葉木菟
東京 川俣美子
逃げ水にふるさとの雲映りけり
三重 坂倉一光
兼題-山下美典・選
人歩かば神となんなむ大雲海
東京 針ヶ谷里三
少女期の聞く夜咄や八雲の忌
山形 横道輝久子
開拓の碑に汚れなし雲の峰
栃木 山口 勝

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