沖縄旅⑥

沖縄旅⑥

心拍数は上がっていき、非常にまずい状態。
でもそんな中でも冷静な私もいて、インストラクターさんが話していたことを思い出していた。

「万が一過呼吸になったら息を吐く事を忘れないでね」
「息を吐く事を忘れないでね」
「息を吐くこと」
「息を吐く」

フーー、フーーー、フーーーー!!!

その言葉通り息を吐き続けた結果、
息を吸うのを忘れていて完全に酸欠状態になった。

本当に苦しくて足をジタバタさせた事で、片足のフィンが海底にゆっくり落ちていく光景を今でも覚えている。

脳に酸素が回らなくなったら思考が停止するというのは本当で、「なぜこんなに苦しいのか?そうだこんな物をくわえているからだ」と何百メートルと深い海底で、私はついに命綱である酸素ボンベを口から外してしまったのだ。
それにはさすがのインストラクターさんも慌てたと事後に聞いた。

海上には少しずつ上がっていたらしいのだが、水圧で耳の鼓膜が破れる可能性があるため、ゆっくりしか上に行けず、更に海上ではシュノーケルをしているツアー集団がいたため、酸素ボンベを背負っている私たちがそこに上がるのはとても危険ですぐには上がれない状況だったらしい。
しかし暗い海の中ではそれが分からず、引き続きパニック状態が続いていた。



苦しい、苦しい、、あー、もう限界、あー死ぬ、、
死んだなー、、、

なんて事を思っている時、ギリギリの状態で海上に出た。

はーーーーはーーーーはぁーーーーー。

あと5分遅かったらと思うとゾッとするよー!
とインストラクターのお兄さんに言われたことと、10分程呼吸を整えた後、「じゃあそろそろ行けるっ!?」と聞かれたことだけ鮮明に覚えている。



そんな事があったけど、私は再度潜って青の洞窟を目指したのだ。
もちろんカメラ係はクビになり、ペアの友達に託すことになった。

その後海底で待っていてくれた2人と合流して、魚に餌をあげたり、海底で記念撮影をしてもらうなどして無事に青の洞窟にたどり着く事ができた。

ちなみに青の洞窟内で撮った写真は、さっきまでもがいて溺れていた人とは思えないほどの、とびきりの笑顔で写っていた。



全てのアクティビティを終え船に上がってからはもちろんその話で持ちきりで、私が苦しくてもがいている時、先に潜っていた2人は、海底からその一部始終を見ていたらしいのだが、私がもがいて足から外れたフィンがゆらゆら落ちていく様子がきれいだったと言った。こちらは生死の境を味わったつもりだったが、別アングルからは幻想的な情景に写っていたことを知り、心底面白くなった。

きっとこの話は次回からこのツアーに参加するツアー客向けのネタとして使われることに違いないと確信し、人生最初で最期のスキューバダイビングを終えた。

沖縄旅⑦へつづく

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