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河野薫句集『従心』


このたびご紹介する句集は、河野薫句集『従心』になります。四六判の上製で、函入りの句集になります。装丁は赤紫と茶色の間のような色合いで、書籍の左下には、金文字で「従心」とほどこされています。本を開いてみますと、見返しには箱の中央部の淡いピンクに合った和紙が使用されています。とびらは、濃い橙色で少し周りの紙よりも厚めの紙を使用し、存在感があります。以下、帯の10句です。

退路断つ誓子の海に出て余寒
憲吉忌ご存命なら鳩寿とは
鞦韆漕ぐ鷹女の愛を奪はむと
われ死なむ西行の花浴びしころ
香水や一瞬揺らぐ身の悪魔
籐寝椅子アラン・ドロンとなり眠る
御座すれば上寿の父よ南畦忌
白姫の蹴出しは白か はた赤か
わがルーツ碧梧桐子規寒明忌
七十の誌齢間近かや淑気満つ

河野薫さんは、「あざみ」誌の三代目の主宰で、伊丹三樹彦主宰の帯文によると、父上は河野南畦、母は河野多希女と俳人夫婦であったそうで、また、慶大俳句時代先輩柿本憲吉の薫陶を受けられたとのことで、「連衆と句会錬磨のあとは置酒歓語も辞さない一面もある」とのことです。帯の一句目「退路断つ誓子の海に出て余寒」という一句に、俳句へかけられる情熱というか、情念を感じます。句集を通して読むと、その俳人の人柄まで、伝わってきます。(Web/映像担当)

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合同句集『九年母 堺花野句集』


合同句集『九年母 堺花野句集』のご紹介です。

神戸の結社「九年母」の同人名誉会長、徳澤南風子氏が代表を務められている「堺花野会」の発足200回を記念し、会員22名の代表30句を収録しています。代表の徳澤南風子氏の句を引用します。

色足してゆく芦屋川春浅し

里人の鶴の別れに小魚撒く

山家集心に峰の落花踏む

雨濡れの人に夏炉を明け渡す

震災の句碑は語り部鳥渡る

石庭に露霜むすぶ光あり

船旅のまどゐに蜜柑転がり来

初雪に心遊んでをりにけり

淡い黄色から、ピンク、オレンジへとグラデーションがかけられている暖かなイメージの装丁に、淡い暖色の色調にあった紫色の帯がかかっています。題字は、銀文字で、白く発光しているようなイメージです。並製のカバー装丁、四六判です。合同句集は、名を連ねられた方々の思いが、何層も込められています。自分の句でない句でも、選句した句、褒められた句、議論のあった句など、様々なことなど、思い出の詰まった句集となりそうです。(Web/映像担当)

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柳田寛句集『風に吹かれて』


今日は、柳田寛句集『風に吹かれて』をご紹介します。ビニール装丁の文庫本サイズですので、鞄に入れて持ち運ぶことができるサイズです。表紙が強いビニールですと、かすれたりせずに、ずっときれいなままです。表紙の水色の四角枠の中の、題字が濃い青色で書かれてあり、その周りの白は、少しだけクリーム色がかっています。

著者の柳田寛さんが、俳句に入られるきっかけは、以前、フランス文学を専攻されていた過程において、ロラン・バルトを研究したときに、『表徴の帝国』という本において、言語表現としての俳句形式の本質に目を開かされたことだったそうです。何か詳しくお話を伺ってみたい気がします。句集名は、ボブ・ディランの『風に吹かれて』から取られたとのことです。以下、帯の10句を引用します。

滴りの音が音追ふ雪解かな
風の声ささやくごとく木の根開く
炎天の牧草ロール影もたず
麦秋や中天に日のかくれなし
秋風や忘るるために海見つめ
ほほづきに夕日は色を尽しをり
秋草の丈を競はぬ寧けさよ
綿虫を払へば日暮すぐそこに
外套の疲れを壁にぶらさげる
街灯の遠くは低し冬の月

3句目の牧草ロールの句は、読むだけで汗が吹き出しそうな臨場感があります。(Web/映像担当)

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