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村山春子句集『風を聴く』


ピンク色の函に、金色の文字が目に飛び込んできます。村山春子様の句集『風を聴く』をご紹介します。

函から出すと、ほぼ函と同じピンク色の布装丁が現れます。背表紙もやはり、金文字になっています。

伊勢参り風を聴く目に宇治橋を  春子

函に巻き付いているアクセントとなる白の帯にある句です題字の下にある金のイラストは、上句の情景、おそらく宇治橋でしょう。

また、古賀雪江先生の選による、帯の十句は以下になります。

ががんぼの捨てゆく足をかへりみず

ハンカチの皴渦なせる今朝の訃に

春の雪とけて堂塔立ち上がる

花冷や予後の指輪の抜けやすき

金色の弥陀の瓔珞堂おぼろ

魚は氷に上るや奈良は矢来組む

水打つて養生の日々鮮たなり

夢に泣く子への霜の夜の灯をともす

寝かす子に聖夜の嘘のみづみづし

古賀雪江先生の帯文に「身近に生起する事柄をごくさりげなく詠むことで詩ごころを磨いて来られたことを思います」とありますが、日常のふとしたものを見過ごすことなく、詩に昇華されています。(Web/映像担当)

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加藤三辰句集『木曾山中』


句集『木曾山中』をご紹介します。

著者の加藤三辰様は、お父上の加藤吟嶺の他界と同時に作句を始められ、16年後に「句友」の主宰を継承されました。

黒い函にほどこされた真っ赤な杜鵑花は、インパクトがあります。帯文にある句「子規追ひて来し桟や杜鵑花燃ゆ」の杜鵑花と思われます。函から取り出してみますと、落ち着いた赤色の布装丁で、ビニール装になっています。布製本には、杜鵑花の形と思しきものが彫られています。

ビニール装は、書籍の経年劣化を最も抑えることができます。俳句356句と正岡子規「かけはしの記」踏破探訪記が併載されていますので、本に厚みがあります。ビニール装丁であれば、末永く残すことができます。表紙、和紙の見返し、扉とめくると、正岡子規の愛したキソガワサツキの写真がありました。

以下、著者選による帯文の10句になります。

健啖の子規を偲びてうなぎ食ふ

「牛つなぎ石」を叩きて驟雨来る

「此より」の木曾路の標苔の花

文月や子規を偲べる宿場町

剣客も泊まりし宿場秋の暮

冷まじや鳥居峠の分水嶺

木曾の旅紅葉且つ散る巴淵

子規追ひて来し桟や杜鵑花燃ゆ

木曾の旅一日は走り梅雨に遇ふ

明け易や小説の地は木曾山中

最後の句ですが、日の上がる時間が早くなった朝、小説の地であった木曾山中の風景を、実際に著者が歩かれている感慨なのでしょうか。(Web/映像担当)

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安曇統太句集『酔いどれて統太』


本日、ご紹介する書籍は、安曇統太句集『酔いどれて統太』になります。文學の森の和華叢書シリーズで、フランス製本になります。題目の『酔いどれて統太』の力強い文字が淡く浮かび、柔らかい装丁ながらも、凛とした品があります。落ち着いた色調の赤茶色の帯には、上窪青樹先生の序文の抜粋があります。

北を発ち南へ帰る六月尽  統太

上句が帯の表にあります。また、自選十句は以下の句が並んでいます。

五感泣くように春の雨降る

わが肺も嵯峨の桜もうすあかり

ふらここの放りだす夢楕円形

列柱の蟻ロンドンのテロリスト

キリストの手枷首枷花うばら

白亜紀の記憶真昼のハンモック

点滴の過去へ落ちゆく黄落期

しぐるるや抑えたきものふつふつと

海へ木枯し陸に幻聴

句集の書名からも、著者のお酒好きが分かりますね。「海へ木枯し陸に幻聴」という自由律句があり、著者の幅の大きさを感じます。(Web/映像担当)

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